手術室に初めて来る患者さんは「ドラマとは違う!」と驚くことが多い。よくドラマや映画で目にする手術室だが、現実とはイメージがだいぶ違う。初めて手術室看護師としてオペ室に配属されたとき、イメージと違って驚くことが多い。
ドラマや映画では、手術が始まる前は非常に緊迫した空気に包まれているものだ。医師が医療用手袋をはめ、真剣な顔で手術に臨もうとしている場面を見たことがあるだろう。
しかし、実際には、手術の準備中の間は患者さんが起きているので、不安が和らぐように手術室看護師が声掛けを行なう。手術室に入るだけでも患者さんは緊張するので、患者さんに選んでもらった音楽をかけたり、雑談したりして、和やかな雰囲気を作るよう心掛けている病院が多い。
これもよくあるシーンだが、医療ドラマの中では、手術が始まったら、出血が止まらなくなる、血が噴き出し医師や看護師が慌てふためくなど予想外の事件が起こることは珍しくない。ところが、実際には起こりうるすべての可能性を考えて準備している。もちろん、手術が始まって体の中を見ないと分からないこともあるが、手術前に患者さんはレントゲン、CT、MRIなどの検査をし、医師がしっかり診察して手術に挑むので、起こりえる問題は事前にスタッフに共有される。使うかもしれない機材、器具はスタンバイしているのが普通だ。
ドラマや映画では医師にばかり注目が集まるが、どの立場のスタッフが欠けても成立しない。現実では手術室看護師の存在が、手術室のチームワークを支えているのだ。